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30代会社員です。主にビジネス書を中心に読み、ブログでアウトプットする事でビジネスに必要なスキルを身につけることが目標です。

坂口孝則「日本人の給料はなぜこんなに安いのか」

今回は坂口孝則著「日本人の給料はなぜこんなに安いのか」を読んだ。
そもそも私は日本人の給料は安いと感じいなかったため、タイトルに疑問を持って読み始めた。

日本人の給料は1997年をピークに、右肩下がりという。ここ近年はアベノミクス効果か、持ち直しているが、中期的には減少傾向にある。
この本には日本人の給料は先進国で比較しても比較的低いということも書いてある。すでに日本人は高給取りというイメージが崩壊しているとの事。
しかし日本企業全体の売上はほぼ変化していないものの、経常利益は増加傾向にあるという。
では何故、日本人の給料は上がっていないのかという理由をこの本では解説している。
簡単にまとめると、以下の4つの理由があるとの事。

 

①日本は製造業がベースにあるため
製造業では誰が作っても同じモノが出来る様に、標準化されている。そのため専門性の必要がなく、代わりがきく仕事が多い。従って社員が横並びの給料となることが多い。

流動性が低いため
労働者が、自分に適した市場に移りゆくことを流動性と呼ぶ。転職が盛んであれば流動性が高いと言われるが、日本人は転職しない、辞めない、クビにならないことから基本的に流動性が低い。終身雇用が根底にあるからだと考えられる。海外では高給で雇い、実績が出せなければ解雇するということは珍しいことではないとの事。そのため流動性が高い方が高給になりやすいと言える。

③ 勤続年数に応じた給料上昇体制が原因
成果によって給料を上げることは社員も納得するが、逆に下げると社員からの大きな反発がある。そのためもともと給料低めにして、そこからあまり変化させない方が良いと経営者は考える。そのため基本的に勤続年数に応じて徐々に給料が上がっていく企業が多い。一気に上げることは難しい。
海外の企業の大半も勤続年数に応じて給料が上がるが、成果が出なかったら辞めさせたり、良かったら残ってもらうという考え方の海外企業と、終身雇用当たり前の日本企業では経営者は前者の方が給料を上げやすい。

④人事評価への不徹底も原因
日本の企業は人事評価に対し、誰にでも同じような目標設定をしているだけで、個人と合意した内容でない。上司も部下もなあなあになり、上司は期末にバタバタと人事評価をするだけというもの。
海外ではジョブディスクリプションといって、個々の社員が明確な仕事の範囲を定義された仕事にあたっているのが常識。
日本では社員一人ひとりに行動目標や、業績目標をしっかりと決めていない企業がほとんど。こういう体制では個人の成果が正しく評価され、できる人の給料があがることはない。そのため横並びの給料となる。

 

〜感想〜

上記の②に対しては、転職時代になりつつあるため、すぐに変化していくのではないかと考えている。ただ安定志向が強い日本人には③や④の改革には時間がかかるのではないか。給料を上げたいならば本書に書いてあるとおり、転職や独立、副業の必要があると感じた。私としてはリスクが少ない副業を検討したい。

また本書の他の章では、年金は払い損にならないかというテーマや、持ち家と賃貸ではどちらが得かというテーマについても分かりやすく書かれており、読者の興味をそそるような身近な疑問についても書かれている。
コストとリターンを意識したお金の使い方を学べる内容となっており、気軽に楽しめる本であった。

 

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